骨盤軸整体はなぜ産後の尿もれを数回の施術で改善することができるのか

骨盤軸整体が産後の尿もれに止めを刺す

こんにちは、骨盤軸整体の野田です。

荻窪院のHPの記事をブラッシュアップしていたら懐かしい記事が出てきました。

産後の尿もれ撲滅宣言!!骨盤軸整体で産後の尿もれにとどめを刺す!

日付が2017年10月ですから、もう3年半も前に公開した記事ですね。
骨盤軸整体がメソッドとして完成し、セミナーとして公式に世に出たのが2018年の1月。
この記事を書いた頃は骨盤軸整体を自分では使用してはいたものの、まだ一般にお伝えするほどの完成度には達しておらず、効果を確認しながら検証を進めて体系化していた時期ですね。懐かしい。

しかしこの記事にも記載されているように、そんな黎明期の当時から産後の尿もれに対して骨盤軸整体は絶大な効果を発揮していました。

僕自身は骨盤軸整体を開発する以前は産後の尿もれに対応した独自のエクササイズを指導していて、その指導方法にはそれなりの実績もあって産前産後の専門院としての自信の礎にもなっていたのですが、それでも改善までには数ヶ月〜長ければ半年近くもの期間を要すことがほとんどでした。
しかし骨盤軸整体を用いてからは、同レベルの尿もれの症状に対してもわずか1、2回の施術で改善できてしまいます。

もちろん喜ばしいことなのですが、従来とのあまりの違いに今まで積み重ねてきた実績は一体なんだったのかと、自分の開発した手技ながら軽く落ち込んだりもしました(笑)

なぜ骨盤軸整体は産後の尿もれを数回の施術で改善することができるのか?
なぜ巷によくある骨盤底筋エクササイズだけでは明確な改善には結び付かず効果が薄いのか?

従来からの産後の尿もれに対するアプローチの違いも含めて、説明していきたいともいます。

 

まずは常識を疑うことから始める

☑️ 妊娠してお腹が大きくなることで骨盤底筋は引き延ばされ、出産後も緩んだままとなってしまう。
☑️ その骨盤底筋の緩みが原因で尿もれや子宮脱などの症状が発生する。
☑️ よって産後の尿もれを改善するためには、緩んだ骨盤底筋を鍛えて元の状態に戻さなくてはならない。

ニュアンスは微妙に違っても、一般的にいわれている産後の尿もれに対する考え方は概ねこのようなものだと思います。

しかしそもそも、本当に産後女性の骨盤底筋は引き延ばされて緩んだ状態なのでしょうか?

例えば腹筋などは見た目にも分かりやすいですね。
お腹が大きくなることで腹筋群は物理的に引き延ばされ、それが腹横筋に関してはインナーユニットの腹圧低下に影響を与えますし、腹直筋に関しては腹直筋離開の直接的な原因となります。

骨盤軸整体で腹直筋離開を改善していくためのアプローチとは?

しかし骨盤底筋に関しては、物理的に引き延ばされた状態にはどうしても見えません。

お腹の大きい妊婦さんというのはいくらでも目にしますが、骨盤底筋が突出して股間がもっこりしている妊婦さんというのはお目にかかったことがないですし(笑)素朴な疑問として仮に骨盤底筋が伸びて緩んでいるのであれば、経腟分娩は苦労することなくスルッと出てくるはずなのでは?と感じてしまいます。

つまり産後の骨盤底筋は引き延ばされた結果緩んだままなのではなく、むしろ妊娠中はお腹が大きくなって腹圧が掛かることで骨盤底筋はそれを受け止めて支えるために通常よりも収縮が強い状態が続いている。そしてその状態が産後も継続してしまうことで排尿排便などの細かいコントロール機能が低下してしまうのではないか、というのが骨盤軸整体における仮説です。

そもそも骨盤底筋を鍛えなければ産後の尿もれが改善しないというのであれば、数回の骨盤軸整体の施術で尿もれが止まる理由を説明することはできません。

大切なのは骨盤底筋を鍛えることでなく、それ以前の問題として骨盤底筋を正しくコントロールするための神経伝達能力を回復させること、というのが骨盤軸整体の産後の尿もれに対する根底的な考え方となります。

 

骨盤底筋エクササイズだけでは遠回りな理由

もちろん産後の骨盤底筋エクササイズが必要ないと言ってるわけではありません。

ただ仮にエクササイズを指導したとしても、脳が正しくその筋肉を認識できない状態では結果として適切な効果を得ることはできないため、まずはその筋肉を正しく使うことができる状態に戻さなければいけません。
骨盤軸整体にはそれが可能ですが、それ以外の場合はひたすら筋肉と脳の信号がつながるまでエクササイズを繰り返すのが唯一の方法であり、それは非常に非効率で遠回りなアクションと言えます。

また通常言われている骨盤底筋のエクササイズに関しては、産後の尿もれに対して適切でない理由は他にもあります。

重要なのは「尿生殖隔膜」

産後の尿もれに大きく関わっていると言われているのが骨盤底筋(骨盤底筋群)です。

骨盤底筋は3層構造になっていて、

  1. 骨盤内の臓器を支え引き上げる作用を持つ骨盤隔膜
  2. 膣や尿道の開口部周辺を支え、開閉する尿生殖隔膜
  3. 表層部で膣・尿道・肛門の開閉をおこなう括約筋

に分けられます。
注:骨盤底筋の層の分類方法は諸説挙げられますが、骨盤軸整体では医学書院社発行「プロメテウス解剖学 アトラス 解剖学総論/運動器系」記載の分類に基づいた考え方を支持しています

その中でも産後の尿もれ改善に特に重要なのが
2. の尿生殖隔膜です。

産後の尿もれ改善のポイント尿生殖隔膜

プロメテウス解剖学 アトラス 解剖学総論/運動器系より引用

上記の骨盤底筋のイラストの中でもカラーで示した部分。
恥骨結合と左右の坐骨結節を結んで三角形に広がっているのが尿生殖隔膜です。
(奥のモノクロの部分は骨盤隔膜。本当はさらにこの上に括約筋が付着しています)

尿生殖隔膜に大小二つの穴が縦に空いていますが、下の大きい穴が膣口で、上の小さい穴が尿道です。
そしてその下に開いている大きめの穴が肛門ですね。
尿生殖隔膜は肛門には掛かっておらず、まさにその名の通り尿道と生殖器をてているです。
産後の尿もれ改善のためには、骨盤底筋の中でも特にこの尿生殖隔膜の機能を改善させていくことがポイントになります。

一般的に尿もれ改善に指導される骨盤底筋エクササイズは「お尻の穴を引き上げるように締めて〜」といった指導方法のものが多いのですが、上記の通り尿生殖隔膜は尿道と生殖器だけに作用しているため肛門の働きには影響を与えません。

つまり肛門を締めるタイプのエクササイズでは尿生殖隔膜に効果的に作用させることができないため、そのようなエクササイズでは産後の尿もれを適切に改善することは難しいのです。

もちろん従来からの骨盤底筋エクササイズを否定するつもりはありません。
骨盤底筋が継続的に収縮することで全体的に機能低下を起こしていることは否めませんし、そこに定期的に意識を向けることで加齢も含めた将来的な機能低下を予防することには大いに意義があると思います。

しかしピンポイントで産後の尿もれ改善というテーマで考えた場合、骨盤底筋全体に対してのエクササイズでは効率が悪く、結果につなげるまでには遠回りであると言わざるを得ません。
あくまでも産後の尿もれに対して効果的にアプローチしていくためには、より尿生殖隔膜にフォーカスしたエクササイズを指導することが必要なのです。

 

「締める」ではなく「動かす」のが大切!

尿生殖隔膜にフォーカスした方法でのエクササイズとはどのようにすればいいのでしょうか?

産後の尿もれ改善のためには、単に骨盤底筋を締めるのではなく、あくまでもポイントを定めて動かすことが必要になります。

力任せに締め付けるのではなく尿生殖隔膜の動きを理解し、その動きを妨げることなく更に大きく動かすことができるよう、動かしたい部位に意識を持っていくことが大切なのです。

具体的な尿もれ改善のための施術やエクササイズの方法は骨盤軸整体アドバンスセミナーでお伝えしています。

骨盤軸整体アドバンスセミナーのご案内

またはこれらのエクササイズを含めて骨盤軸整体での産後の尿もれ改善を希望される方は、認定アドバンスインストラクター以上の資格を持つ認定院へご相談ください。

協会認定インストラクター&認定院一覧

 

本質はインナーユニットの機能改善にある

今回は骨盤底筋についてのみフォーカスして書きましたが、産後の尿もれを改善させる最終的な目的は骨盤底筋を中心としたインナーユニットの連動性を回復させることです。

産後の骨盤矯正とインナーユニット
プロメテウス解剖学 アトラス 解剖学総論/運動器系より引用

ヨガやピラティスの経験がある方は、インナーユニットの名前に聞き覚えがあるかもしれません。
インナーユニットとは胴体深層部の4つの筋肉、横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋の総称です。
このインナーユニットの最大の役割は、腹圧をコントロールして体幹を安定させることです。

4つの筋肉を連動して収縮し、インナーユニット内部の空間の内圧(腹圧)を上昇させることで体幹壁は空気がパンパンに入ったバスケットボールのように硬くなります。

そのような内部の圧力空間を利用して身体を支えることで腰椎にかかる負担を30%〜50%も軽減することが可能となります。
また重いものを持ち上げるような時にも身体を支えて負担を軽減させます。

日常生活で私達は姿勢を安定させるために、インナーユニットを無意識のうちにおよそ30%程度の力で使っています。
インナーユニットを使うためには4つの筋肉を連動して収縮することが必要ですが、しかし産後の女性はそのうちの2つの筋肉である骨盤底筋と腹横筋が機能低下に陥っているため、インナーユニットを効率よく使用することができません

そのため腰椎や腰背部の筋肉の負担を分散させることができず、痛みを発生させたり、猫背や反り腰を助長します。
赤ちゃんを抱っこする際などにもすぐに腰が痛くなったりします。

さらに腹圧をうまくコントロールできないために尿もれの原因となったり、内臓を安定して支えられないので産後も下腹部がぽっこりした状態が長く続いたりします。

よって産後のボディケアとしてはインナーユニットをしっかり効かせることのできる体を取り戻していくことが重要なテーマとなるのです。

骨盤軸整体荻窪院  –  産後ボディは骨盤矯正だけでは戻らない!?正しく戻すためのポイントを徹底解説! より引用

インナーユニットとは胴体の深層部の4つの筋肉、横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋の総称で、妊娠〜出産によってこれらの機能の連動性が低下することで尿もれや腹直筋離開を代表とした様々な産後女性のボディトラブルの原因につながっていきます。

骨盤底筋のエクササイズも単に骨盤底筋を強化するだけが目的なのではなく、骨盤底筋の機能を正しく取り戻すことでインナーユニット全体としての連動性を回復させていくのが真の目的となります。

単に締めるのではなく動かすのが重要というのはそういうことであって、骨盤底筋をインナーユニットの一部として正しく使えるようになることで正しく腹圧をコントロールすることが可能となり、それが本質的な尿もれの改善につながるのです。

 

次世代の産後ボディケア実現のために

木を見て森を見ず、という言葉がありますが、多くの整体手技やエクササイズ方法が目の前の現象の改善ばかりにフォーカスして、本質を見据えることができていないように感じます。

産後の尿もれにおいても然り。
通俗的な「骨盤底筋が引き延ばされて緩む」といったイメージに囚われてしまうがゆえに、最適とは言えない改善方法であっても疑うことなく実施し続け、自らも成長することなく旧来からの価値観を脱却することができず、結果的にクライアントの改善を遅らせてしまう。

それは今回のケースのみでなく、いわゆる「産後の骨盤矯正」という言葉が当たり前に蔓延している現状の根底に流れる問題でもあります。

現状を打破していくためには固定観念からくるイメージや一般常識をまずは疑い、根本的な原因はどこにあるのか?その改善のためにはどう取り組めばいいのか?といった仮説を立て、それに基づいて検証を重ねていくことが必要であり、骨盤軸整体はまさにそのようなプロセスを経て開発された整体メソッドだと言えます。

 

目の前の症状や現象に振り回されるのではなく、本質を見据えて改善につなげていく施術や考え方のみが生き残ることができる時代が確実に到来しつつあります。

骨盤軸整体を身に付けてそのような新しい時代に歩みを進め、より多くの女性に笑顔と感動を届けていきませんか?
皆様のご参加をお待ちしています。

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