整体で逆子は治るのか?整体師として責任を果たすための矜持について

骨盤軸整体の世界

こんにちは、骨盤軸整体の野田です。

このところ立て続けに逆子の改善について質問をいただく機会がありました。

骨盤軸整体を含めた整体全般で逆子を改善することは可能なのか?

逆子については僕が以前主宰していたアラウンドバースボディケア・スクールでも講義内容に取り入れていたのですが、今ではその内容をお伝えする機会もないので、せっかくなので記事として取り上げてみたいと思います。

 

逆子とはどのような状態を指すのか?

通常、妊娠時には子宮内の胎児は頭が下を向いた状態(これを頭位と言います)で安定していますが、何らかの理由で頭が上を向いた状態で安定しているの逆子(=骨盤位といいます。

子宮内で胎児は羊水の中をある程度自由に動いていますが、妊娠30週前後から頭位で安定しはじめます。

妊娠28週(妊娠8ヶ月、妊娠後期)の段階で逆子である確率は約30%であり、医学的にも28週以前は逆子という言葉は使いません。

28週以降に胎児が骨盤位にあることで逆子の診断が下り、逆子体操などの指導の対象となります。

妊娠中の週数と逆子の確率の推移

Williams Obstetrics ハードカバー/ F. Gary Cunningham より引用

一度逆子になるとずっとそのままなのかというと、決してそんなことはありません。

むしろ上記のグラフで分かる通り、28週で30%だった逆子の確率もその後30週で約15%、34週で10%、36週で5%まで低下し、最終的な40〜42週においては約3〜4%というデータが出ています。

このグラフの元となるデータは海外のものですが、日本の産婦人科の先生も大体同じような数字で話しているので、人種や国籍の違いはさほど影響しないのではないかと考えられます。

つまり逆子の96%は自然に治るものであり、逆子を語る上でそのことをまずは知っておかなくてはいけません。

 

整体師として無責任な表現は慎むべき

整体による逆子の改善についての僕の考えとしては、
おそらく改善は期待できるが、施術効果としては謳うべきではないというものです。

確かに逆子への整体は一定の効果はあると感じています。

実際に産前産後の専門院として17年、数え切れないほど逆子の方への施術をしてきましたが、記憶にある限りはほぼ全員が出産までに改善しています。

もちろん途中で来なくなってしまった方や出産前に地元に帰省してしまった方、あるいは「逆子が治るまで整体は止めるよう先生に言われました」とのことで通院を中断された方(10年くらい前までは結構そういう方も多かったです)もいらっしゃるので本当の意味では全員ではないかもしれません。

しかし少なくとも出産直前の最後の施術まで関わらせていただいた中では、逆子が戻らなかったクライアントは一人もいないです。

ただしそれはあくまでも結果論に過ぎず、先述したように96%の逆子が自然に治るわけですから、例えば当院の施術を受けていなくても改善していた可能性は十分にあるわけで、その事実を無視して施術結果の全てを当院の実績として発表するのはフェアではありません。

ですから当院では逆子の改善について実績をアピールすることはしていませんし、骨盤軸整体でも逆子の改善を施術効果として喧伝することは控えています。

 

僕は整体師として、いや整体師だからこそ、そのような自然に改善が見込まれる現象に対する施術結果を実績として公表することには慎重であるべきだと思っています。

現在では整体業界でも「逆子整体」や「逆子矯正」なる施術を聞くことも多くなり、「逆子矯正師」といった資格名称のセミナーも目にしたこともありますが、そもそも放っておいても96%が自然に改善するようなケースをあたかも自分の技術の成果として喧伝するのはいかがなものかと考えています。

 

原因不明なものは「治した」とは言えない

また、現代医学においても逆子になる原因というのは不明とされています。

原因が不明ということは、改善のための確実な手段もないということです。

それに加えて胎児の回転という状況を鑑みても施術効果の再現性の検証は実質不可能であり、なんだかよく分からないけど施術してみたら良くなっちゃった、これって俺のおかげだよね?というレベルで安易に集客につなげるというのは誠意のあるビジネスとは言えず、モラルを疑われる行為といっても過言ではありません。

癌が治ると言った極端なものも含めて、我々の業界では得てして因果関係と相関関係が明確に分けられないまま、結果全てを自分の所為として喧伝するような残念なケースが多くみられますが、そのような無責任な行為は回り回って整体全体の信用と品位を低下させることにつながるのではないかと危惧しています。

 

整体師は胎内情報を確認できない

さらには「胎児が戻りたくても戻れないケース」というものも存在します。

例えば胎盤の位置や臍の緒が短いなどの理由で動きが制限されている状態や、あるいは臍の緒が胎児の首や身体に巻きついた状態など、器質的な理由で胎児の動きが著しく制限されている場合です。

そのような逆子は治らないか、治る際に高いリスクを生じる可能性もあります。

例えばエコーやレントゲンのような、胎内情報を把握するための手段を我々整体師は持ち合わせておらず、そのクライアントの逆子がどのような状態なのかをを知り得ることはできません。

一縷の希望に縋って来院するクライアントに対して安易な結果を軽々と約束し、効果が出たら自分の手柄、効果がなければクライアントの問題で片付けられてしまうような、そのような無責任な施術メニューは導入するべきではないと考えています。

 

骨盤軸整体は逆子にどのような影響を与えるか

これらの理由で僕自身は逆子の改善について施術効果として謳うべきではないと考えています。

しかし効果を謳うかどうかは別として、骨盤軸整体が逆子の改善に良好だと実感しているのもまた事実です。

逆子の改善について僕自身がどのような効果があると考えているのか、最後にそのことについて説明します。


 

逆子とは胎児が骨盤位にある状態を指しますが、なぜ胎児が頭位に戻ることができないのかについて考えてみると、

1.子宮周辺の筋肉の柔軟性が失われて胎児の動きが制限されている。
2.胎児への血液供給が十分でないため自力で回転する力が弱い。
3.妊婦の呼吸が浅いため腹腔内圧に掛かる刺激が弱い。

といった仮説が挙げられます。

つまりもし整体の施術においてこれらを問題を解消することができれば、結果的に逆子の改善につながることは期待できます。

以下、それぞれの項目について骨盤軸整体による影響を考察していきます。

1.子宮周辺の筋肉の柔軟性が失われて胎児の動きが制限されている

子宮の重さとそれに伴う反り腰の影響によって、子宮周辺の筋肉は緊張を強いられ柔軟性が失われていきます。

そのため胎児の自由な動きは制限され、骨盤位から頭位への転換が難しい状態にあると考えられます。

妊婦さんに骨盤軸整体を施術することで自然なお腹の丸みが回復し、子宮の位置が持ち上がったように高くなることが多いですが、体幹を支える筋肉の働きが適正化され、姿勢が改善されて子宮周辺の筋肉が正しく機能するためと考えられます。

そのようにして子宮の自然な丸みを取り戻すことでスペースが確保され、子宮周辺の筋肉が正しい働きを取り戻して柔軟性を回復することで胎児が回転しやすくなることが期待できます。

2.胎児への血液供給が十分でないため自力で回転する力が弱い。

骨盤軸整体によって全身の筋肉の連動性が高まることで母体の血液循環も向上し、胎盤を介して胎児への血液供給も確保されやすくなります。

それによって胎児の子宮内での運動の活性化にもつながり、結果として自発的に回転しやすくなることが期待されます。

3.妊婦の呼吸が浅いため腹腔内圧に掛かる刺激が弱い。

私達の体幹を支える重要な部位であるインナーユニットですが、呼吸による横隔膜の上下運動と連動して、常に収縮と弛緩を繰り返しています。

それに伴い腹腔内には加圧、減圧が一定のリズムで生じており、特に妊娠中においてはそのリズムが胎児への外的な刺激となるのですが、妊娠中期以降は増大した子宮に横隔膜が圧迫されて呼吸が浅くなりがちなため、胎児への外的な刺激が失われてしまいます。

骨盤軸整体の施術を受けることでインナーユニットの連動性が改善され、深い呼吸を導くことができると共に腹腔内の加圧減圧のリズムを回復することが可能となり、胎児への刺激を促すことで結果的に自発的な回転のきっかけにつながるのではないかと考えられます。

 

安易な結論に走らず検証結果を積み重ねていく

上記に述べたことは全て僕自身の仮説にすぎません。

あくまでも憶測に過ぎませんが、しかし骨盤軸整体の施術を受けた妊婦さんは施術直後から胎児の動きが活発になったという感想を述べる方も多く、やはり上記のような効果で胎児の動きに対して良好な結果を導くことができるのではないかとは考えています。

しかし確実に効果があると結論づける検証を得られてなく、そして今後もそのような検証を得ることは実質不可能である以上、骨盤軸整体で逆子を矯正することができるといった安易な宣伝をすることはありません。

 

我々の整体は医療行為ではないため、あくまでもビジネスでしかありません。

ですから他人の金儲けに口を挟むつもりもないのですが、だからと言って明らかにモラルに反した宣伝や手段が横行しているのは由々しき問題ですし、業界として改善していかなければならない問題だと考えています。

あくまでも安易な結論を導くことなく、観察し、熟考し、検証を重ねて実績に基づいた結果を積み上げていくこと。

そして施術結果を謙虚に受け止め、自身の施術との因果関係に照らし合わせて正しく向き合うこと。

そのような立ち振る舞いこそが我々整体師として持つべき責任を果たし、自身の矜持を守ることにつながるのではないでしょうか。

 

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