レポート12|インナーユニットの機能向上で産後の子宮脱を改善させる

臨床レポート紹介

こんにちは、骨盤軸整体の野田です。
好評いただいているインストラクター認定レポート紹介です。

今回は出産後に発生した子宮脱に対して、施術を継続したクライアントの変化についての報告です。

特別に寄稿いただいた渾身のレポートです。かなりのボリュームですが素晴らしい内容なのでしっかりお読みいただければ嬉しいです。

※ブログの文章としての文脈を考慮し、一部単語や表現などを改変しています

 

レポート紹介

提出者

坂原叔子(助産師・認定アドバンスインストラクター)

クライアント

I.Y様

区分

女性、産後(10日目〜1.5ヶ月/計6回施術)初産婦

クライアントの症状と悩み

初産婦だが3700g台のお子さんを出産。

入院中は何となく子宮が下がっている?といった程度の違和感があったが脱出はしていなかった。尿もれ等もなし。

退院後、排便時に腹圧をかけた際に子宮脱が発生。

来院後、子宮脱予防目的でリングを挿入。

次の妊娠の事を考えると、手術などが必要にならないか?という不安を抱えている。

症状改善のために意識した施術部位

産後10日目からの施術のため、基本の8か所+横隔膜を毎回実施。

段階を追ってエクササイズ(腹式呼吸・ドローイン)も指導した。

その部位を選んだ理由

もともと身体に対する美意識が高く、見た目も徒手テストの結果も産後とは思えない程しっかりしていた。

産後の割に腹筋がしっかりしていると感じたが、むしろ腹筋でインナーの弱さをカバーするような感じで常に力を入れている様に見受けられたため、まずは全体的に頑張らなくても上手くバランスがとれるよう、安定を図るため8か所のポジションに軸を入れて腹筋以外の部分も同様に使えるようにしたかった。

子宮脱を考えると横隔膜と骨盤底筋が上手く使えておらず、腹筋でカバーしようとしているのではないかという仮説をたてた。
横隔膜への施術とエクササイズを実施することで、横隔膜と骨盤底筋群の連動的を高めてインナーユニットが正しく使えるようになるのではないかと考えた。

骨盤軸整体施術後の状態

軸の通りは最初からよかった。施術前後の変化もあり。

施術後クライアントの反応

1回目
リングを入れて3日後に施術。
リングの脱出はないが下降している違和感があったため自分で押し込んでみたとのこと。
今のところリングが見える感じはない。
ハイローチェックでは胸式呼吸が主導。
何度か練習するもなかなか腹式呼吸にならなかったのだが、横隔膜の施術を入れると腹式呼吸ができるようになる。

2回目
リングの穴から脱が触れていたものがなくなり、下垂してる感覚も気にならなくなってきた。
腹式呼吸はほぼ毎日実施。意識すれば出来るようになってきた。
エクササイズにドローインを追加。
同業者でもあり理論的で真面目な方だったので、ドローインをイメージするにあたり骨盤底筋群の解剖図を見せ、骨盤底筋群が3層になっていることや、尿生殖隔膜を意識して動かすようにすることを意識していきたいということを説明し、しっかり理解を得ることができた。

3回目、4回目
リングの下垂感なし。
尿が途中で止められるようになった。
排便時も腹圧をかけても子宮が下垂してくる感じはない。
前回までは外出時に身体のふらつきや不安定感を感じていたが、それがなくなり安定してきた。
腹式呼吸は意識しなくてもできるようになったが、ドローインはまだ上手く出来る感触がわかるときと分からない時がある。

5回目
前後の徒手テストにて軸がしっかり残っており、施術後に体幹が中央に寄る感覚がある。
目線が上がる。
腹式呼吸はしっかりできている。ドローインも前回よりはまずまず出来るようになっている。

6回目
リング抜去後も子宮の下垂感なし。
軸もしっかり入っている。
片足立ちで足を回す検査の際には左が回しにくい感覚があるが、施術後は改善した。
ドローインも呼吸に合わせて腹圧が収縮する感覚がより分かるようになった。

その後
リング抜去後8日後も子宮の下垂感はなし。
排便時も下垂してくる感じもなく快適にすごしている。
寝る前の腹式呼吸やドローインも毎日続けているようです。

感想、反省点、今後の課題など

子宮脱が内蔵筋によるものだと、骨盤軸整体での改善効果が得られない可能性もあったが、産後すぐであることを考えると産後の重心の揺り戻しを改善することから得られるメリットが大きいのではないか、との説明を行なった。
効果が得られる可能性があるのであれば継続して施術したいとの希望があり、今回の施術に至った。

もともと自分の身体に対する美意識が高く、産後すぐにしては比較的姿勢も良く見え、特に腹筋がとても強い印象だった。
しかし腹式呼吸ができなかったことを踏まえて、姿勢をよく見えるよう腹筋に力を入れて頑張って立っているのではないか?と考え、以下の仮説を立てて今回の施術をしてみました。

【仮説】
インナーユニット(横隔膜・骨盤底筋・腹横筋・多裂筋)のどこか1〜2か所が強いだけではやはりバランスが悪い。
インナーユニットそれぞれが同じように使え、調和がとれるようになることで子宮脱にも良い効果が得られるのではないか?

【目標】
①意識して力を入れなくても安定が図れること。
②横隔膜と骨盤底筋群の連動性を図ること。

軸の通りは3回目以降から安定してきたため、①の目標は少しずつ達成に向かっていった。
最終的には自然にドローインが出来るできるよう、横隔膜と骨盤底筋群の連動を意識してエクササイズ強化し、継続していった。
6回目の施術のころには、ドローインの呼気時に腹筋が収縮する感触を本人が自覚していること、腹式呼吸も意識せずとも自然にできるようになっていたことを考えると、②の目標である横隔膜と骨盤底筋群の連動的な動きも実現できていたと思われる。

今のところリング抜去後も子宮脱の再発はなく、下降感もない。
姿勢の安定も実感しており、インナーユニットの調和は取れつつあるのではないか?と思っています。
本当はもう少し軸を安定させるために施術の継続を検討しましたが、本人の希望もあり6回のみの施術で終わってしまったことが少し心残りでもあり反省です。

 

評価、感想など

レポートを提出いただいた坂原さんはクリニックで勤務する傍ら、出張専門で骨盤軸整体をメインとする開業助産師としても活躍されています。

こちらのレポートに記されてるクライアントはクリニックで担当されていた方で、子宮脱という難しい症状に対してしっかりと仮説を立てながら改善への道筋を進めていく様子が伝わってくる、とても素晴らしいレポートだと思います。

尿もれもそうですが、一般的な整体テクニックで子宮脱の改善を謳うことはありません。
もちろん子宮脱の改善を求めて整体院に来院される方はほぼいませんが、当院などではカウンセリングの際に子宮脱でリングを挿入している旨を打ち明けてくるママさんは決して少なくなく、そのような中には骨盤軸整体の施術によって改善されるケースも存在します。

ただ尿もれと違って子宮脱の場合は症状の出方次第では骨盤軸整体の適応にはならないケースもあり(詳細はセミナーでお話ししています)身体の内部を診断することができない我々整体師にはその違いを客観的に判断することは不可能であり、再現性がある施術方法として体系化することが難しい状態ではありました。

今回のケースでは個別な原因を探して対応するというのではなく、インナーユニット全体の機能を連携して高めていくことで腹圧の安定→内臓全体の引き上げを図るという、ミクロではなくマクロでの改善に重きを置いたところに重要なポイントがあると考えています。

インナーユニットに関して詳細はこちら

骨盤軸整体はなぜ産後の尿もれを数回の施術で改善することができるのか

その結果「インナーユニットの機能改善による本質的な身体の改善を目指す」という骨盤軸整体の根幹を実践し、結果として改善に結びつけることができたのではないでしょうか。

尿もれや子宮脱といった重篤な症例に限らず、いわゆる腰痛や肩こりといった症状であっても、目の前のクライアントが訴える症状や痛みにとらわれて本質に辿り着けずに右往左往しているのは、キャリアの長いプロの整体師であっても決して少なくないパターンです。

それに対し、特に今回のように重篤な症例であっても冷静に本質を捉え、改善に繋げるための仮説と目標を立て、それに沿って施術を実践していくことのできた坂原さんの判断は素晴らしいと思います。

骨盤軸整体の施術効果はともかく、そのような揺るぎない姿勢がクライアントにも伝わり、結果として信頼感としてつながり、トータルな意味合いで症状の改善につながったのではないでしょうか。

 

坂原さんのクリニックでは他にも数名の助産師が骨盤軸整体を習得しており、それぞれが連携しながら安定して施術を提供できたのも良好な結果を生み出す好環境だったと思います。

成城マタニティクリニック様において「骨盤軸整体外来」が開設されました

今後はそのようなクリニックが増えていくことで、ますます産後のトラブルで悩む女性に骨盤軸整体を届けていくことができるのではないでしょうか。

少しずつではありますが、そんな未来が近づいているのを確実に実感しています。

坂原さんありがとうございました。
これからもたくさんの方に骨盤軸整体を届けてくださいね。
よろしくお願いします。

 

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