腹直筋離開を本質から改善するために
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2021.2.6 追記:「腹直筋離開について」のオンライン動画セミナーを現在期間限定で無料で公開しています。
腹直筋離開について学びを深めていきたい方はこちらをご覧ください。
腹直筋離開とはどのような症状か
腹直筋離開という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
腹直筋離開について従来は整体業界で取りざたされることはほとんどありませんでしたが、近年産前産後ケアなどが一般化してきたことでその名前や症状について知られることが多くなったように思われます。
腹直筋離開とは、妊娠中に分泌されるホルモンの影響で腹直筋の中心に走る「白線」という腱が緩み、そこから腹直筋が裂けて(離開)しまう症状です。
症状の程度に差はありますが、妊娠女性のおよそ9割に発症すると言われているほど身近な症状でもあります。
軽度であれば産後半年ほどで自然と戻る場合が多いのですが、重度になるとおヘソが出てきたり(臍ヘルニア)離開した部分から小腸が脱出したり(腹壁ヘルニア)といった重篤な症状を引き起こす場合もあります。
もちろん、女性にとっては最も気になるであろう「見た目」にも大きく影響を与えます。
程度にもよりますが、腹直筋離開がある女性のお腹は産後しばらくたってもお腹が突き出たように膨らんでいる場合が多いです。
なかには妊娠中と同じくらいにぽっこり突き出してしまっている方も見受けられます。
体重は元に戻ったのだけど、産後のぽっこりお腹がなかなか戻らない・・・という方がいらっしゃる場合、腹直筋の離開を疑ってみたほうがいいかもしれません。
そして問題の本質は「見た目」だけではありません。
腹直筋離開があることで女性の身体に様々な問題が発生しますが、中でも最大の問題はインナーユニットと呼ばれる身体構造を正しく使うことができなくなることです。
インナーユニットが正しく働かなくなることで、起立時や動いているときに体幹を安定させることができなくなります。
そのため産後の回復が大きく遅れ、更には腰痛や肩こり、疲労感などの不定愁訴に悩まされることが多くなるのです。
腹直筋離開とインナーユニットの問題とは
プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系より引用ヨガやピラティスの経験がある方は、インナーユニットという言葉に聞き覚えがあるかもしれませんね。
インナーユニットとは、胴体の深層部の4つの筋肉、横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋の総称です。
このインナーユニットの最大の役割は、腹圧をコントロールして体幹を安定させるということです。4つの筋肉を連動して収縮し、インナーユニット内部の空間の内圧(腹圧)を上昇させることで体幹壁は空気がパンパンに入ったバスケットボールのように硬くなります。
そのような内部の圧力空間を利用して体を支えることで腰椎にかかる負担を30%〜50%も軽減することが可能となります。
また重いものを持ち上げるような時にも身体を支えて負担を軽減させます。通常の場合、私たちは姿勢を安定させるためにインナーユニットを無意識のうちにおよそ30%程度の力で使っています。
インナーユニットを使うためには4つの筋肉を連動して収縮することが必要ですが、しかし産後の女性はそのうちの2つの筋肉である骨盤底筋と腹横筋が伸びてしまっているため、インナーユニットを効率よく使用することができません。そのため腰椎や腰背部の筋肉の負担を分散させることができず、痛みを発生させたり、猫背や反り腰を助長します。赤ちゃんを抱っこする際などにもすぐに腰が痛くなったりします。
さらに腹圧をうまくコントロールできないために尿もれの原因となったり、内臓を安定して支えられないので産後も下腹部がぽっこりした状態が長く続いたりします。よって産後のボディケアとしては、インナーユニットをしっかり効かせることのできる体を取り戻していくことが重要なテーマとなるのです。
上記のように産後ボディケアにはインナーユニットの機能回復が重要なのですが、腹直筋離開が発生することで腹筋群を正しく使うことができなくなり、インナーユニットを機能させる際の重篤な阻害要因となるのです。
逆にいうと腹直筋離開に起因する産後女性の不調のほとんどはインナーユニットが使えなくなることが原因と言っても過言ではありません。
腹圧を高めることができない分だけ脊柱や固有背筋への負担が増し、腰痛や肩こりなどが発生しやすくなります。
また少しの運動で疲れたり、赤ちゃんの抱っこが辛くなるなど、インナーユニットの機能低下は産後QOLの低下に大きな影響を与えるのです。
骨盤軸整体で「腹直筋離開の改善」のその先を目指す
そして更に問題なのは、単に腹直筋離開を改善するだけではインナーユニットの機能回復につながらないということです。
確かにインナーユニットの機能を取り戻すためには腹直筋離開の改善は必須ですが、腹直筋離開が直接インナーユニットの機能低下の原因となっているわけではないため、腹直筋離開を改善しただけではインナーユニットの機能を回復させることにはならず、問題の根本的な解決にはつながりません。
ですから我々としては腹直筋離開の改善とインナーユニットの機能回復を同時進行で取り組んでいく必要があります。
腹直筋離開に対するアプローチの真の目的は離開の改善そのものではなく、離開を改善したうえで本来の身体の使い方を取り戻すことだと言えます。
骨盤軸整体が腹直筋離開の女性の身体をサポートする
骨盤軸整体では8つのポイントに対して特別な調整をおこなうことで身体機能を回復し、重心の揺り戻しによって崩れてしまった体幹を支える感覚を回復させることができます
腹直筋離開の女性に対してまず押さえておきたいのは腹筋群と大腰筋へのアプローチです。
さらにそこに下丹田へのアプローチを加えることで、より産後女性の身体にかかる負担を軽減させて効果を高めることができます。
01:腹直筋へのアプローチ
骨盤軸整体で腹直筋にアプローチすることで腹直筋は従来の正しい働きを取り戻し、自然な収縮と伸長をおこなうことができるようになります。
それによって白線を広げることなく腹直筋を使うことができるようになるため、離開部分の回復を早めることが期待できます。
02:大腰筋へのアプローチ
大腰筋は腹直筋に直接関係している筋肉ではありませんが、インナーユニットが正しく機能していない状態での体幹を支える働きを担っています。
大腰筋に骨盤軸を通して機能を高めることでインナーユニットに掛かる負荷を軽減し、腹直筋離開の悪化を防ぐとともに母体の負担を軽減させることにつながります。
腹直筋と大腰筋に骨盤軸を通した動画です。
必要以上に力むことなく腹筋の力を出すことができるようになります。
03:下丹田へのアプローチ
丹田という言葉は東洋医学や武術などで用いられることが多いのですが、丹田という名の具体的な臓器があるわけではなく、あくまでも概念としての抽象的な定義です。
下丹田とはヘソから5cmほど下部の奥にある体の中心部を指し、東洋医学では気を貯める場所、気を練る場所などと表現され、丹田を意識することで様々な健康の増進につながると言われています。
西洋医学的に見ても下丹田の位置は人体の「重心(中心)」であり、身体を動かす際にここを中心に動かすことを意識することで、無駄なく安定した動きができるようになります。
下丹田に骨盤軸を通すことでクライアントは意識せずとも丹田に力を込めて身体を動かすことができるようになります。
それによって下半身の安定性を向上させることが可能となり、インナーユニットの機能低下による身体への負担を軽減させることにつながります。
下丹田に骨盤軸を通した際の動画です。
特に力を入れなくても下腹部を安定させることが可能となります。
腹直筋離開について正しい知識を得るために
先述した通り、腹直筋離開は産後の女性の身体機能回復に大きな影響を与えます。
しかし腹直筋離開について詳しく学ぶことのできる場があまりないため、正しい知識を持った治療家やセラピストがまだまだ少ないのが現状です。
むしろ腹直筋離開についての知識がないために本来は禁忌であるようなタイプの無理なトレーニングや効果の少ないエクササイズを課してしまい、結果クライアントの腹直筋離開の症状をさらに悪化させてしまうような残念なパターンも多く見られます。
当院に来院されるクライアントの中にも、このような目に遭って症状を悪化させてしまった方が多いです。
助産師の皆さんにとっても、主に産後の女性の悩みとなる腹直筋離開についてはまだまだ理解が進んでいないというのが実情ではないでしょうか。
冒頭でも書きましたが、妊娠女性のおよそ9割に発症すると言われている症状です。
この腹直筋離開への対応や対策を知らずして産後のボディケアは成立しないと言っても過言ではありません。
当スクールでは骨盤軸整体アドバンスセミナーにおいて腹直筋離開への具体的なアプローチ方法をお伝えしています。
助産師の方や産後の女性を対象にして活躍されているセラピスト、治療化の皆様にとって、きっと有用な学びになると自負しています。
表面だけにとらわれない、本当の意味での産後女性の身体機能の回復のために、私たちの骨盤軸整体をぜひお役立てください。