本当に必要な産前産後の骨盤ケアについて考える
妊娠〜出産という大仕事を乗り越えた女性の身体にはさまざまな変化と負担が蓄積していますが、そのようなタイミングでは具体的にどのようなケアが必要なのでしょうか。
周産期の身体の回復について、特に近年では骨盤ケアが重要であるという言葉をよく聞くようになりました。
一般的には「骨盤ケアの三原則」として
①内臓を持ち上げる②骨盤を固定する
③筋肉を整える
が挙げられています。
しかしこの三原則をママたちに提供していくにあたって、具体的にはどのように考えていけばいいのでしょうか?
①コルセットで内臓を持ち上げて、②ベルトで骨盤を固定して、③整体で揉みほぐして整える
そんなイメージを持たれる方も多いと思いますし、実際にそのような方法を指導している団体もありますが、そのような道具やツールを用いた手段というのは本当にママたちの身体にとって必要で最善な方法なのでしょうか?
今回はこの三原則に準えつつも、私たちの骨盤軸整体の視点とアプローチをもとにした本質的な産前産後の骨盤ケアについて解説していきます。
きっと助産師としても現場レベルで納得のいく視点で、安全に確実に導入できる考え方だと思います。
①内臓を持ち上げる(インナーユニットの回復)
産後に「ぽっこりお腹が戻らない」「なんとなく内臓が下がっている気がする」といった違和感を訴えるママさんは少なくありません。
妊娠によりお腹が大きく引き伸ばされると、身体の奥深くにあるインナーユニット(横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋)の連動性が失われ、適切な腹圧を保つことができなくなります。
それによって重量のある内臓が本来の位置よりも下がった感覚が生まれ、さらに程度が進むことで感覚だけでなく、子宮脱などの具体的で重篤な症状にも繋がっていきます。
インナーユニットの詳しい説明はこちらを参照にしてください

【完全版】腹直筋離開の対応と改善方法について
産後 • 2026年6月4日
/blog/diastasis-recti
インナーユニットの機能回復に関しては、骨盤軸整体の得意分野と言っても過言ではありません。
骨盤軸整体では特に妊娠〜出産によって機能が低下しやすい8つの筋肉にアプローチすることで機能を回復させることが可能となり、それによって体幹を安定させるインナーユニットの機能を取り戻していくことができます。
インナーユニットの連動性を回復させることで腹圧をコントロールする本来の機能を取り戻すことが可能となり、結果として下がってしまった内臓を本来の正しい位置へと自然に引き上げることができるのです。
コルセットなどで物理的に安定させたとしてもそれはその場しのぎにしかならず、本質的な改善にはつながりません。
あくまでも自分の力を取り戻すことが肝要であり、骨盤軸整体ではそのようなスタンスを何よりも大切にしています。
②骨盤を固定する(天然のコルセットの再構築)
骨盤を固定すると聞くと、やはり骨盤ベルトなどで外側から強く締め付けることをイメージするかもしれません。
確かに骨盤ベルトによって固定することで一時的な安心感は得られますが、しかし長期間ベルトに頼りすぎることでかえってママ自身の筋力低下を招くリスクも存在します。
少なくとも医学的な視点で見る限りは産後の骨盤が器質的に開いたり変形したりすることはあり得ず、産後に感じる骨盤のグラグラ感は筋肉が本来の働きを忘れてしまっている状態(筋機能不全)による不安定感に過ぎません。
ですからこれもまた大切なのは、ベルトなどの装具による固定に頼らず自分自身の筋肉を正しく取り戻すことになります。
骨盤軸整体によって仙腸関節や恥骨結合、あるいは股関節を主軸にした周囲の関節をサポートする筋肉にアプローチし、自分自身の筋肉を天然のコルセットとして再び機能させることで、体幹は自らを支える自己支持機能を回復し、外側からの固定に頼らなくてもしっかりと安定した身体を取り戻すことができます。
③筋肉を整える(重心の揺り戻しのリセット)
産後の不調の根本原因は、出産によって急激に重心が変化する重心の揺り戻しによるものであり、この急激な変化に脳のコントロールが追いつかずに筋肉の神経伝達が寸断されてしまうことにあります。
重心の揺り戻しについてはこちらを参照してください

骨盤軸整体とは
産前産後の女性に特化した、低刺激で効果的な整体メソッドをご紹介します。
/about
重心の揺り戻しによって失われた筋肉の機能は単なる揉みほぐしによって改善するものではなく、力任せに筋肉を押したり揉んだりほぐしたりしても根本的な機能回復につながることはありません。(一般的な揉みほぐしの整体にいっても、数日で効果が感じられなくなってしまうというのはそういうことです)
骨盤軸整体の「筋肉を整える」というアプローチはそのようなその場しのぎのテクニックではなく、筋肉の本来の正しい使い方を脳に再認識させるという、極めて理にかなった本質的な改善を目指したケアです。
脳への再認識には強い刺激は必要なく、優しいソフトタッチの刺激によって脳と筋肉のスイッチを入れ直すことで筋肉は適切なバランスを回復させ、本来の機能や柔軟性も取り戻すことが可能となります。
骨盤ケアといっても骨盤へのアプローチだけじゃない
ここまで伝えてきた通り、実際に骨盤ケアというネーミングではあるものの、本当に大切なのは骨盤だけに注目した回復ではなくあくまでも骨盤を軸にした全身の機能回復であり、そのために必要な段階を踏んだアプローチであると言えます。
それはまさにその名の通り、私たちの骨盤軸整体が目指す方向であり、そのために生み出された骨盤軸整体こそが最適な手段であるといっても過言ではありません。
産後のトラブルは骨盤の開きやゆがみが原因である、という従来からあるイメージは依然根深く浸透していますが、そこに囚われてしまう限り本質的な原因の究明や改善のためのステップには遠ざかってしまいます。
骨盤ケアの名称に振り回されて木を見て森を見ずな産後のボディケアに陥ることがないよう、改めて本質と向き合う柔軟さと余裕を持って取り組んでもらいたいと考えています。