帝王切開なら骨盤は開かない?〜帝王切開と産後ボディケアの考え方

帝王切開なら「産後の骨盤矯正」は必要ない?

クライアントさんからよく聞かれる質問のひとつに

「帝王切開で産んだら骨盤って開かないんですか?」

というのがあります。

一般的に「産後の骨盤が開く」のは、分娩時に胎児が産道を通り抜ける際に恥骨結合や仙腸関節が押し広げられるからというのが主な理由ですが、帝王切開では腹部を切開して胎児を取り出すため普通分娩(経膣分娩)とは違って胎児が産道を通らないわけです。

だとすれば帝王切開による出産の際には骨盤が開くことはなく、帝王切開で出産した際には産後の骨盤矯正は必要ないということになります。

一般的には出産で開いた骨盤が産後も開いていて、それがさまざまな不調の原因だといわれていますが、そのロジックでいうならば帝王切開で出産したママさんは産後の下半身太りや尿もれ、腰痛をはじめとした不快症状などを感じることがないはずです。

果たして本当にそうなのでしょうか?

帝王切開についての基礎知識

帝王切開とは自然分娩が難しいと判断された場合に選択される手段で、お母さんの腹部を切開して赤ちゃんを取り出す分娩方法です。

主として事前に正常分娩が困難であると予測される場合に38週前後を目安に行われる選択的帝王切開と、分娩途中に母体及び胎児に何らかの問題が生じて緊急的に行われる緊急帝王切開に分類されます。

切開方法は横切開、縦切開の2種類が多いようですが、あくまでも皮膚~皮下組織の切開方向の違いであって、その下の腹直筋は中央部にある白線に沿って縦に切開します。

そして子宮はさらに横に切開するとのことですから、

①皮膚及び皮下組織(多くは横)
②腹直筋(縦)
③子宮(横)

と部位によって方向を変えながら3段階に切開していくという、素人目に見てもかなり大変な術式であることが予想されます。

帝王切開による分娩数は増加傾向にあるようで、厚生労働省の「平成22年度我が国の保険統計2-11 医療機関における分娩件数と帝王切開娩出術割合の年次推移」によるとこのような推移となっています。

帝王切開の推移グラフ

こちらは平成22年とやや古いデータではありますが、帝王切開の件数の増加がよくわかりますね。

余談ですが僕の妻も二人の子供を帝王切開で出産しています。

帝王切開なら産後のトラブルは発生しない?

帝王切開なら骨盤は開かない→産後のトラブルも無縁なのか、というと当然そんなことはなく、当院にも帝王切開で出産されたママさんが大勢来院されていました。

そもそも産後の不調は骨盤のゆがみや開きではなく、周産期にかけて起こる重心の揺り戻しによる影響で体幹を支えるための筋肉が正しく使えなくなることが原因で発生するため、自然分娩・帝王切開というのは関係ありません。

骨盤軸整体とは

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ちなみに帝王切開と骨盤底筋の関連についての研究論文というのは存在していて、2020年の北京大学Qing Wangらの報告では、帝王切開による分娩経験者のグループは経腟分娩のグループより骨盤底筋の緊張は強い傾向にあり、尿失禁や子宮脱、膀胱立つなどのトラブルも帝王切開グループの方が発生率は低かったとのことです。

しかしあくまでも傾向があった、低かったというだけのことであり、帝王切開だからトラブルが発生しないというわけではありません。

帝王切開だろうが自然分娩だろうが産後のママさんの悩みはおしなべて共通であり、分娩方法に関わらず本来の身体を正しく取り戻していく必要があります。

しかし出産の際に骨盤が押し広げられることで産後の骨盤がゆがんだり開いたままになるという誤った先入観にとらわれている限りは正しい対応ができません。産後女性の身体を改善していくためには、まずはそのような誤った認識からアップデートしていく必要があります。

帝王切開だからこそ気をつけたいポイント

関係ない、とは書きましたが、むしろ帝王切開で出産したからこそ気をつけたいポイントもあります。

それは腹部を切開することでインナーユニットの機能回復が自然分娩に比べて遅れがちということです。

インナーユニットとは?

インナーユニット

ヨガやピラティスの経験がある方はインナーユニットという言葉に馴染みがあるかもしれません。

インナーユニットとは人体の深層部にある4つの筋肉、横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋の総称で、腹圧をコントロールして体幹を安定させる役割があります。

通常の場合、私たちは姿勢を安定させるためにインナーユニットを無意識のうちにおよそ30%程度の力で使っていると言われていて、4つの筋肉を連動して収縮することで腹腔の内圧(腹圧)を上昇させ、そのような内部の圧力空間を利用して身体を支えています。

それによって腰椎にかかる負担を30%〜50%も軽減することが可能となりますし、重いものを持ち上げるような時にも身体を支えて負担を軽減させることができます。

インナーユニットを使うためには4つの筋肉を連動して収縮することが必要ですが、しかし産後の女性はそのうちの2つの筋肉である骨盤底筋と腹横筋が正しく機能できなくなるため、インナーユニットを効率よく使用することができません。

そのため腰椎や腰背部の筋肉の負担を分散させることができず、赤ちゃんを抱っこする際などにもすぐに腰が痛くなったり、腰で支えるような姿勢を取らざるを得なくなるため、産後も反り腰が定着する原因となります。

さらに腹圧をうまくコントロールできないために尿もれの原因となったり、内臓を安定して支えられないので産後も下腹部がぽっこりした状態が長く続いたりします。

よって産後のボディケアとしては、インナーユニットをしっかり効かせることのできる体を取り戻していくことが重要なテーマとなるのです。

帝王切開ではインナーユニットの機能回復が遅れがち

腹横筋はインナーユニットを構成する筋肉のひとつなので、この筋肉が切開されることでインナーユニットの機能回復が遅れがちになり、通常分娩に比べて腹圧のコントロールや体幹の安定が弱いケースが散見されます。

もちろん個人差もあるので帝王切開のママさん全員が通常分娩より改善が遅いとは断言しませんが、今までのケースを鑑みるとその傾向が強いのは確かです。

そのため特に帝王切開で出産されたママさんに対しては、

①体幹を安定させる筋肉の働きを強化してインナーユニットへの負担を軽減させること ②身体の中心に重心を置くことで施術の効果を効率よく高めること ③同じく身体の中心に重心を置くことで体幹を安定させやすくすること

を意識した施術と指導をおこなうのが望ましいといえます。

骨盤軸整体で帝王切開後の体幹を安定させる

帝王切開後に産後のボディケアを受けるのであれば、これらのポイントをしっかり説明してくれる整体院を選ぶのが大切だと思います。

なんでも「骨盤のゆがみや開き」のせいにして、なんでも「骨盤矯正」で解決しようとするのではなく、産後女性のボディトラブルの原因である「反り腰」や「インナーユニットの機能低下」に対する知識と理解がしっかりあって、それをクライアントにしっかり説明できるような、そんな先生を選ぶことをお勧めします。

正しい知識を持っている先生であればしっかり納得のいく説明をしてくれるでしょうし、そしてはっきりと結果の出る改善メニューを提案したうえで施術をしてくれることでしょう。

もちろん当院でもお待ちしています。

不安なこと、わからないことなどありましたら、お気軽にご相談ください。

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