セミナー受講生や産後のママさんからよくいただく質問に
出産してから×カ月以内に産後の骨盤矯正をしないと間に合わないって聞ききますが、本当ですか?
というのがあります。
本当ですか?と質問してくるくらいの方はまだ余裕があるほうで、僕が整体院で施術をしていた頃には「あと少しで×カ月になっちゃうんですけど間に合いますか?」と切羽詰まった感じで連絡してくる方もいたりして、やはり本気で身体をなんとかしたいと感じているママさんにとっては深刻に捉えてしまう問題なんだろうなと思います。
果たして産後の身体を改善するのにそのような有効期限は本当に存在するのでしょうか?
有効期限は6ヶ月?3ヶ月?1ヶ月!?
そういった文言で集客している整体院は多いですが、実は院によって「×カ月」の数字が違ったりします。
産後6ヶ月というのが一番多いかな?という印象ですが、3ヶ月とか4ヶ月みたいに若干早い説を提唱している方もいますし、中には1ヶ月以内なんてなかなかぶっ込んでくるツワモノもいたりして、みなさんバラエティに富んだ自説を提唱しています。
そしてその理由として最も多く挙げられてるのが
「産後×カ月はリラキシンの影響で骨盤が緩んでいるから、リラキシンの影響がなくなって再度固定する前に骨盤矯正したほうが元に戻しやすい」
というものです。
確かに妊娠中にはリラキシンと呼ばれる関節の結合を緩めるためのホルモンが分泌され、その影響によって骨盤の関節(主に恥骨結合)が緩むことで胎児が骨盤を押し広げやすくなって産道を通過しやすくなります。
出産後にそのリラキシンの影響が残っているのが×カ月間で、だから骨盤が動きやすいその期間内に骨盤矯正したほうがいい、それを過ぎて骨盤が固まってしまうと間に合わなくなる、ということなんでしょうね。
確かに一見説得力のある意見に見えますが、本当でしょうか?
骨盤矯正とリラキシンのあやしい関係
そもそもそのような先生方は何を根拠に「リラキシンの効果は産後×カ月まで残る」と言っているのでしょうか?
リラキシンそのものは産後数日まで分泌され、半年ほどの間に減少していくというのは医学上の通説ではありますが、そもそも恥骨痛や仙腸関節痛といった疼痛とリラキシンレベルの関連性の有無ですら医学論文において見解が分かれている(例:1996年のKristianssonらの報告では骨盤帯痛とリラキシンレベルの間には関連性ありとされているが、2000年のBjörklundらや2012年のAldabeらの研究では直接的な関連性はないと結論付けている)というのが実情です。
よって「徐々に減少していくリラキシン」が恥骨結合や仙腸関節、あるいはそれ以外の関節にどれだけ影響を及ぼすのか、という明確なデータや数値は存在せず、一般的に「リラキシンの影響で骨盤が緩んでいるのは産後×カ月」と言われているのは全て医学的根拠のない憶測にすぎません。
それ以前に素朴な疑問として「産後×カ月の間はリラキシンの影響が残って骨盤が緩んでいる」のであれば、緩んでる骨盤を矯正したところですぐにまたゆがむわけですから、かえってその間は骨盤矯正などしても意味がないのではないか?と思うのですが、どうなんでしょうか?
もしご自分が通いたいと思っている整体院や接骨院の先生が「産後×カ月以内に矯正しないと間に合わない!」と言っているのであれば、何を根拠にそう発言しているのかを詳しく聞いてみるといいかもしれません。
その先生から明確な根拠を伺えないのであれば、残念ながらご自身の大切なお身体を任せるにはちょっと心許ないような気がします。
結論:産後のボディケアに有効期限はありません
まあそもそも、身も蓋もない話をするならば「産後の開いた骨盤を矯正する」ような骨盤矯正自体が医学的に根拠も意味もない施術ですから、リラキシンの影響で云々という説を唱えている先生方はもうその時点で信用するに値しないといえます。

【微妙に閲覧注意】骨盤が開くというのはこういうことです
産後 • 2018年3月20日
/blog/kotsubangahiraku
そのような自分たちのやっている根拠のない行為に説得力を加えるために、さらにそれっぽい発言を積み重ねていくような、嘘の上に嘘を塗り重ねていくような恥ずかしい行為はそろそろ終わりにしたらどうかと本気で思うのですが、それでも当事者である産後のママたちが不安に感じる気持ちは十分に理解できます。
大丈夫です、産後のボディケアには有効期限はありません。
私たちの骨盤軸整体の考え方では「産後は何年経っても産後」です。産後何年経過したママさんでも施術の効果は実感していただけますし、QOL(生活の質) を向上させていくことは十分に可能です。それこそ産後10年以上経って発生した尿もれであっても改善した事例はたくさんあります。
ただ産後のボディケアという視点で考えると、出産による重心の揺り戻しによる影響で発生した身体への負担と産後の生活習慣の積み重ねで発生した身体への負担では身体にかかる負担の発生機序が違ってくるため、施術としてはそれぞれに対応した優先順位でアプローチを組み立てていくことは大切です。
産後は何年経っても産後ではありますが、例えば80歳のお婆ちゃんの尿もれが50年前の出産が原因です、というのは流石にちょっと無理があるわけで、そこまで極端ではないにしろ、産後すぐのママさんと産後数年経過したママさんでは同じようなお悩みであっても症状発生までのプロセスにおいて違いは出てくるため、全て原因が同じとは限りません。
あるいは同じ産後×カ月であったとしても、産後にお身体にどのような負担が掛かり続けていたのか、さらには妊娠中からどのような過ごし方をしていたのかによって症状の出方は変わってきます。
そのため単にAだからB、といったシンプルな方程式に当てはめるのではなく、それぞれの現状を判断しながらそれに応じた施術の優先順位を考え、ベストな施術方針を組み立てていく必要があります。
いずれにしても産後何カ月であろうと間に合う、間に合わないといった概念のものではありません。
産後何ヶ月〜何年経っていても諦めてしまわずに、私たちの骨盤軸整体にお任せください。